交流会実施レポート
2015年9月に開催された関西見学交流会の実施レポートです。
(レポート:知的財産管理技能士会交流委員)
はじめに
関西地区の知財技能士の皆さんが待ち望んでいた、関西での交流会が1年ぶりに開催となりました。知的財産を経営に活かす元気な中小企業として、メディアにも多数取り上げられている株式会社エンジニア(以下「エンジニア」)の協力を得て「エンジニア見学交流会」が実現しました。
この企画の主なねらいは以下の2点です。
① 製造業の中小企業の知的財産活動の一例を学ぶ
② 参加者同士のディスカッションを通して、企業として望ましい知的財産活動のあり方を模索する
1.講演
製品紹介、企業ビジョンをはじめ、MPDP理論着想のもととなった大ヒット商品「ネジザウルス*」開発、苦労話などについて、髙崎社長からご講演いただきました。
MPDP理論とは「マーケティング」「パテント」「デザイン」「プロモーション」の4つの要素からなる製品・サービスのヒット理論です。髙崎社長はこのMPDP理論を提唱し知財管理を重視した経営に取り組んでいます。
ヒットするには、M/P/D/Pの4要素のどれが欠けてもいけないこと、そのバランスも重要なことを、タレント発掘やスター育成のプロセスに例えて説明いただきました。全員にMPDP理論を理解してもらうための工夫と面白さが散りばめられており、商品開発や経営の経験が少ない知財技能士にとってもわかりやすく、実務に役立つ講演内容でした。
また、顧客のニーズやウォンツの情報収集・すくい上げ方や、製品デザインへのこだわり、工具好きで知られるタレントの所ジョージさんとの交流まで、話題は幅広く興味深いものでした。
2. 企業見学
製造・広報・営業の3部署を順に見学しました。

製造部門では、3Dプリンタによって作られる試作品が「P(パテント)」と「D(デザイン)」の強化において重要な役目を担っているという話を伺いました。 その試作品を用いて弁理士に製品の特徴を説明することで、権利化したい範囲や機能が容易に理解されるようになり、打ち合わせ時間が短縮されたそうです。
そして、デザインについても繊細かつスピーディーな試行錯誤が可能とのこと。「ネジザウルスGT」は、工具では珍しいグッドデザイン賞や国際的に権威あるデザイン賞であるiF product design award 2011(iFデザイン賞)を受賞しています。「男心をくすぐる」デザインを意識し、「遊び心」も忘れずに取り入れるというユニークな視点も、このような受賞や商品の大ヒットにつながっているのかもしれません。

広報部門では、カタログ作成時における知的財産の活用例や使用キャラクター等の知的財産保護などについて、ご説明いただきました。 商品パッケージをはじめ、ポスター、カタログなどの大半は社内で制作されていますが、インターネット上にある他者の著作物を活用することが少なくありません。社内の知的財産管理技能士が資格取得の勉強によって身につけた知識によって、権利侵害等なく適切な使用が実現されているそうです。
ネジザウルスのキャラクター「ウルスくん」は、もちろん商標登録済です。着ぐるみもあり、ゆるキャライベントなどで活躍し、プロモーションに役立っています。
営業部門では、営業部6名全員が知的財産管理技能士資格を取得しているという強みの活かし方についてお話を伺いました。 営業先で新製品を説明する際に、特許等の製品に関する強みも自信をもって説明でき、提案力で他社との差別化を図りつつ商品の特徴を明確にアピールできるそうです。 海外部では、海外知的財産全般(海外特許・意匠・商標)を扱っており、既にアメリカ、韓国、台湾、中国で、特許を取得した商品もあるとのことでした。
3.ディスカッション
企業見学の後、4つのグループに分かれてディスカッションを行いました。各グループで、簡単な自己紹介の後、それぞれの立場や視点で活発な意見交換が行われました。 「エンジニア」の全社を挙げての知的財産活用や各部署、各社員の積極的な取り組みに、多くの方が刺激を受けたことで、「工具での意匠は多いが、特許はなかなか難しく、同じ工具メーカーとして参考になった」、「材料系メーカーの場合、どのようにMPDPを活かすことができるかを考えたい」など、参加者それぞれの感想も興味深く話題は尽きず、参加者14名という小規模な交流会にも関わらず盛り上がりを見せました。 【ディスカッションの様子】 各グループの発表では、「知的財産の活用にはリーダーシップが必要」という意見や、中には、「自分の会社では知財の活用がされていないので、啓蒙が課題だ」という方もいました。また、「一人一人が知財のミッションを担っている点が「エンジニア」の強みだ」とのコメントもありました。
4.懇親会
懇親会は、髙崎社長の乾杯により、なごやかな雰囲気で始まり、エンジニア社員等関係者を含め総勢22名が和気あいあいと交流を楽しみました。 一方で、MPDP理論とマーケティングの4Pとの違いについての質問に対して、髙崎社長が丁寧に説明されるという場面もあり、参加者の熱心さが垣間見られました。
一旦お開きとなった後も、有志はその場に残り情報交換や交流を続けており、いくら時間があっても足りないと感じるほどでした。 参加者の皆さんは、業種や職種を超えて、仕事の話や共通項である知財の話などで盛り上がり、今後の発展も感じられる有意義な交流会となりました。
交流委員 山下・亀田
実施概要

開催日:2015年9月4日
会場:株式会社エンジニア(大阪府大阪市東成区)
参加人数:17名
株式会社エンジニア
作業工具の開発・製造を行なう中小企業。社内にて知的財産管理技能検定の資格取得を推奨し、高崎社長自身も二級知的財産管理技能士(管理業務)の資格をもつ。
*ネジザウルス
ネジ穴が潰れたネジをはさんで回せるプライヤー。年間1万丁売れれば大ヒットとされる工具の業界で、2002年の発売以来250万丁(シリーズ累計 2015年9月)も売れた。
詳しくは株式会社エンジニアのウェブサイトにてご確認ください。
交流委員会より 開催のご案内 2015/09/01
第18回交流会では、株式会社エンジニアの見学交流会を実施します。約一年ぶりの関西エリアでの開催です。
今回の交流会は、会社見学と社長のご講演、そしてディスカッションを通じて、中小企業における知的財産活動の成功事例を学び、皆さんそれぞれの知的財産活動に結び付けていただくことを目的として企画しました。
会社見学では、①開発・デザイン ②広報 ③営業 の3つのセクションについて、それぞれどのような活動を実践しているのかを見学することができます。
その後の講演では、株式会社エンジニアの高崎充弘社長から、自身が提唱するMPDP理論について、そして中小企業における知的財産活動の今後の展望や想いについてご講演いただきます。
そしてディスカッションでは、参加者の皆さんご自身の企業における課題はなにか、見学・講演から得た情報から課題解決に活用できる部分があるかなどについて対話することにより、参加者の皆さんそれぞれの新たな発見につながればうれしいです。このディスカッションが今回の交流会の大きな特徴です。ディスカッションには、高崎社長も参加します。
見学交流会終了後は第二部として懇親会を実施いたします。お仕事の都合でどうしても第一部の見学交流会に参加できないという方は、この第二部の懇親会からでもぜひご参加ください。
参加人数が限られますので、どうぞお早目にお申込ください。皆さんのご参加を心よりお待ちしております。
本交流会への参加申し込み受付は終了いたしました
開催概要
日 時 | 2015年9月4日(金) 第一部:15:00 ~ 18:00 第二部:18:40 ~ 20:40 |
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会 場 | 株式会社エンジニア (〒537-0011 大阪市東成区東今里2-8-9 ![]() |
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主な プログラム |
【第一部】
【第二部】
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参加費 | 第一部:無料 第二部:ご参加1名あたり 4,000円(税込) |
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申込資格 |
会員として参加を希望する方で、上記までに知財技能士会の入会手続きをお済ませでない方、まだ会員番号が不明な方は、ページ下部のお問い合わせフォームよりお問い合わせください。 |
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定 員 | 第一部: 10 名 第二部: 20 名(第一部参加者優先) ※第一部・第二部いずれかのご参加も可能です。 ※先着順かつ会員優先です。定員になり次第締め切ります。 |
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申込受付 期間 |
2015年8月21日(金)15:00 ~ 9月1日(火)15:00 ※受付終了※ | |||||||||||||||
注意事項 |
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実施詳細・参加申し込み
第18回交流会にご参加をご希望の方は、下記よりお申し込みに関する詳細をご確認の上、同ページから参加お申し込みください。
お問い合わせ先
上記に関するお問い合わせは、下記のフォームをご利用ください。 |